鳥籠の姫

「でも、綺麗な美桜を見たら色んな男が惚れちゃうかもしれないね。だから招待客はなしにしようか。招待客がいないなら、和装も洋装も両方やっちゃおうか?うん、それがいいね」

嬉しそうに話す香音人の顔を見ることができず、美桜は窓の外に目を向ける。女性の憧れである結婚式のことを、今まで考えたことなどなかった。だが、もしも式を挙げるのならばーーー。

高層ビルが立ち並ぶ街をぼんやりと見ていると、「美桜」と名前を呼ばれる。香音人はどこか拗ねている様子だった。

「大事な話をしている時にもボウッとしているなんて、もしかして大学の課題のせい?今すぐ大学、やめてもらってもいいんだよ?そうすれば美桜と結婚できるんだから」

大学をやめてしまえば、篤人にはもう会えなくなる。美桜は慌てて「大学のせいではありません。大丈夫です」と返す。

「次にボウッとしたら、本当に大学をやめさせるからね?まあ、僕的にはやめてほしいかな。大学なんて男がいっぱいいるから」

「ボウッとしないので、大学はちゃんと卒業させてください」