桜が咲く前に




「妃依?知ってると思うけど明日から千紘先輩学校来ないんだよ」



「…どうしよう。やっぱり今日って二月二十八日だよね?」




この二ヶ月間ずっとチャンスをうかがっていた。




どんな言葉選びをすれば千紘先輩に伝えられるかなとか、どれくらいの距離で告白ってするのかなとか。




だけれど、あれこれ考えていたって口に出さなければ意味が無いわけで。




「何回失敗したの?」



「片手で数えられるかわからない…」




ミナちゃんの言う通り、何回か惜しいところまではいった、気がする。






例えば、いつもの帰り道。




「…はあ、妃依危ないって。ただでさえフワッフワしてんだからせめて真っ直ぐ歩いて」




落ち着きがない、と学校を出て早々手を引かれる私は車道へ出かかっていたらしい。




緊張と寒さが混ざった体は震えて、千紘先輩と重なっている手だけが熱い。




手、繋がってたらいつになっても落ち着けないよ。




…そんなこと言っていられる余裕なんて無い。いつ言おうかな、もうすぐ家に着いちゃう。