彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

ニンニク、生姜、ネギのみじん切りをフライパンに入れると昌希さんが挽肉と共に炒める。
豆板醤と準備しておいた調味料を入れてから豆腐を入れてひと煮立ちさせてから水溶き片栗粉を入れてとろみをつけ、万能ネギを散らして完成。

「凄いな、俺でも出来た。まぁ彩春のアシスト無しでは出来なかったが。彩春の補佐力は最強だ、仕事も私生活も」

そいうと、触れるだけのキスをしてから、皿に盛り付けた。
同時進行で作っていた中華クラゲときゅうりのサラダも完成した。

麻婆豆腐の調味料に使った紹興酒をロックにして乾杯した。


「それで?」

ピリ辛の麻婆豆腐はご飯もお酒もよくすすむ。

「自分も手伝って作ると格別だな、これからも時々料理を教えてくれ。で、中野さんのことだな」

「うん」

「彼女と俺が不倫をしていたと疑っていたから、ご自分がやっているから奥さんを疑ったんですか?と、言って録音しておいた彼女との会話を聞かせてたよ」

「そうしたら?」

麻婆豆腐もご飯がすすむけど、この話もご飯がすすむかも。

「診察室で抱き合っていたのくだりは、かなり焦っていたね。希未の家や会社に押しかけてきたことや鬼電についても一覧を作っておいたし、ストーカーで訴える予定だった事も話したら、青い顔をしていたし、めちゃくちゃにされた部屋の写真を見せたら流石に頭を下げたよ」

「旦那さんの浮気が引金になったのかな」

「どうだろう?もともと彼女は依存と束縛が強かったから。だから、示談金としては、彩春への慰謝料と俺へストーカーについての慰謝料、そして部屋の修繕代の三つを合わせたものと伝えたよ。それで、部屋は早急に修繕するように言ったら明日、見積もりに来るそうだ。そして、示談は二度と俺たちに近づかないこと示談金の支払いということで書類の作成をすることになった」

「彼女はどうしてるの?もう来ない?」

「長野の実家にいるそうだ」

とりあえずはホッとした。
二人はどうなるんだろう
「浮気って本当につまらないね」ふと父親の顔が浮かんだ。

「そうだね」

「母さんは結局どうするんだろう、父さんを許してこの先の人生を二人で生きていくんだろうか、母の人生だから母さんが決めればいいけど、私は父さんを許さないし、信用できない。生活が安定すればまた、他に目移りしてフラフラとするんじゃないかと思う」

「でも、彩春が後悔しない為に話をする機会を持つのはいいかも知れないよ」

「うん」

二人で作った麻婆豆腐の皿は綺麗になっていた。