ラインを入れたはずなのに
「相馬、帰るぞ」
そう言って肩をポンと軽く叩くとドアに向かって歩き出した。
ええええ、だからっ!
何となく周りがチラチラ見ているのがわかる。
ビルから出て直ぐに昌希さんに抗議した。
「だから!ラインにメッセージいれたでしょ」
「大丈夫だよ」
「もう!大丈夫じゃないから言ってるの!」
「何かあったか?」
仕方がないのでレストルームでの話をした。
前の私なら一人で抱え込んで言えなかったかも知れない。
“お姉ちゃんなんだから我慢しなさい”という言葉の呪縛に私が我慢すればそれで済むという考えになっていた。
だけど、昌希さんに“甘えていい”と言われてこんな風に言えている。
「だったら、住所変更をすればいい」
「でも」
「大丈夫だ」
「部下に手を出して昇進に響くとか?」
「はははは、俺は部下と真剣な付き合いをしているだけで、会社へ損害は与えていないしそもそも次長への打診はあったが断っている」
「え?」
足が止まってしまった。
どういうこと?自ら出世を諦めているの?
私がついてきていないことに気がついたのか、昌希さんは立ち止まって後ろを振り向くと真面目な顔をした。
「その話は今度ちゃんとする」
昌希さんがそう言うのなら
「わかった、今度話をして」
「さあ、帰ろう。示談のことで報告があるし、明日のこともあるから」
「今夜、何にする?」
「麻婆豆腐が食べたいな」
「一緒に食材を買って一緒に作ろう」
「ああ、ラインにリクエストすると食えないことに気がついたんだ」
顔を見合わせて笑った。
「相馬、帰るぞ」
そう言って肩をポンと軽く叩くとドアに向かって歩き出した。
ええええ、だからっ!
何となく周りがチラチラ見ているのがわかる。
ビルから出て直ぐに昌希さんに抗議した。
「だから!ラインにメッセージいれたでしょ」
「大丈夫だよ」
「もう!大丈夫じゃないから言ってるの!」
「何かあったか?」
仕方がないのでレストルームでの話をした。
前の私なら一人で抱え込んで言えなかったかも知れない。
“お姉ちゃんなんだから我慢しなさい”という言葉の呪縛に私が我慢すればそれで済むという考えになっていた。
だけど、昌希さんに“甘えていい”と言われてこんな風に言えている。
「だったら、住所変更をすればいい」
「でも」
「大丈夫だ」
「部下に手を出して昇進に響くとか?」
「はははは、俺は部下と真剣な付き合いをしているだけで、会社へ損害は与えていないしそもそも次長への打診はあったが断っている」
「え?」
足が止まってしまった。
どういうこと?自ら出世を諦めているの?
私がついてきていないことに気がついたのか、昌希さんは立ち止まって後ろを振り向くと真面目な顔をした。
「その話は今度ちゃんとする」
昌希さんがそう言うのなら
「わかった、今度話をして」
「さあ、帰ろう。示談のことで報告があるし、明日のこともあるから」
「今夜、何にする?」
「麻婆豆腐が食べたいな」
「一緒に食材を買って一緒に作ろう」
「ああ、ラインにリクエストすると食えないことに気がついたんだ」
顔を見合わせて笑った。



