彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

いいかげん警察に相談するべきだろうかと思うほど、公衆電話からの着信がある。
そして、彩春が何となくよそよそしい。
間を詰めたと思ったら、壁ができてしまう。
その原因が着信だった。
次の着信時に電話にでることを約束し、他にも何かないか聞いてみると、俺が美里と話をしたあの日、彩春は実家に行ったがそこに不倫の末、出て行った父親がいたのだという。
彩春は父親のせいで、かなりのトラウマを植え付けられている。

父親のことがあったのに、公衆電話について不安にさせていたことは俺の責任だ。
すまない。

俺だけは彩春の味方だ。

その日、久しぶりに彩春をベッドに誘った。
彩春の感じる場所は把握している、ゆっくりと愛撫していくと最初は恥ずかしそうに感じながらも少しづつ大胆になっていくところがたまらなく愛おしい。
もっと深くと思っていた時にスマホが震える。
チラリと確認すると“公衆電話”だった。
俺はスマホを手に持つと俺の愛撫により全身をほんのり紅潮させている彩春に画面を見せながら通話ボタンをタップすると、彩春は驚いた表情を見せた。

「約束通り、公衆電話からの電話の通話ボタンを押したから」

「俺は今、電話をかけてきている人間に対してこれっぽちも思うことはないし、むしろ迷惑なんだ。俺が好きなのは愛しているのは彩春だけだよ、と言うことで続きをしよう」

そして、電話の先の人物に聞こえるように言い放った。

改めて彩春を愛すると彩春はいつもよりも感じているようにみえた。


彩春に俺をもっと知ってほしいと思った。
だから、祖母のことや、叔父の会社のこと放任主義の両親のことを少しづつ知ってもらうために、大磯の祖母の所に一緒に行きたいと思って誘うことにした。