彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

彼女を無視して歩いていくと後ろから着いてくるのが分かる。
そのまま歩き続けると複合遊具と砂場そしてブランコが2つある公園に着いた。
ベンチに座ると彼女も隣に座った。

「よくわからないんだけど、君は一体何をしたいの？」

「夫が不倫をしているの」

「証拠はあるの？」

「診察室で抱き合っていたのを見たの」

「その現場の写真でも撮った？」

「うううん」

「じゃあ、どうしたいの？不倫をやめさせたいの？それとも離婚したいの？」

俺は、目の前にある複合遊具の穴の空いたパネルを見つめながら返事をした。

「モラハラもあって」

「どんなことを言われるの？」

「一人では何もできないとか、夫と意見が違ったら、私はバカなんだから夫の言うことを聞いていればいいとか」

「それで、その夫とはどうしたいの？」

きっと彼女に結論なんて無い、ただかまってほしい、自分の愚痴を肯定してほい。
ただそれだけ。

「君は結局、何をしたいの？」

だから、彼女は何をしたいのか？という、自分が答えを出さないといけない問いには答えられない。

「君は俺が冷却期間を置こうと提案したそれ以前から、今の旦那さんと関係があった。だから、俺も君を裏切っているんじゃ無いかと思ったんじゃないのか？だから異常な執着をみせた」

「だって、先生の誘いを断ったりしたら仕事がしにくくなるから」

「だから、浮気をしていた。そういうこと？でも、君にとっては将来安泰な結婚相手候補だった」

「それは、焦っていたから」

「俺に会いたがるのはなぜ？もしかして、俺が君を今でも好きで、慰めるために不倫に走るとでも思った？」

彼女を見ないと決めているから、今彼女がどんな表情をしているのかはわからない。

「今、俺には大切にしている人がいる。何度も言うが君とはもうこの先一生交わることはない。今度会社に来たりしたら警察に通報する。俺は本気だよ」

「どうして、そんな意地悪を言うの。二人と付き合っていたことは、間違いだったから、だから謝るから。よりを戻したい」

「今俺は大切な人がいると言ったよね、いいかげん自分に都合の悪いことは聞こえないというのはやめにしよう、じゃあ、もう君の話を聞くことは無いよ」

一度も彼女の顔を見ることなく駅に向かった。
その途中、牛丼屋に入り牛丼を食べた。