直属の上司と部下という関係もあり、極力は付き合っていることを隠そうという事にした。
俺の気持ちとしては、俺の彼女だと高らかに宣言して彩春に悪い虫がつかないように牽制しておきたいが、付き合っていることで仕事上の実力を疑われるのは本意ではない。
それに、俺はずっとここにはいられないのだから、彩春が仕事をしやすいようにすることの方が最優先事項だ。
彩春が昼休憩に入ってすぐ、受付からの連絡で急いでロビーに向かう。
怒りで爆発しそうだが、堪えなくてはいけない。
「美里、とりあえず外にでよう」
「どうしても話がしたくて、ごめんなさい。迷惑よね」
「ええ、迷惑ですよ。“昔”もそういいましたよね」
「あの」
「取り合えず、カフェに入りましょう。それまでは喋らないでもらえますか」
「ごめんなさい」
無言で歩く俺の後ろを小走りでついてくる。
カフェに入ると後ろを振り返ることなくスタッフに二名と伝え案内された席に着く。
きっとこの状態を見た人からすれば俺こそがモラハラ男に見えるだろう、だが、それ以上に下手に優しさを見せる方が危険な気がした。
席に着くなりホットコーヒーを二つ頼み、目の前にカップが並ぶまで無言を貫いた。
「それで?会社にまで来た理由は?」
「いくら電話をしても出てくれないから」
「何度も言っているけど、俺が君の話を聞く理由がない。実に迷惑なんだ」
「どうして、そんなに冷たいの。私本当に悩んでいて」
「あのマンションも俺はもう住むことは無いから、2度と行かないでくれ。妹達に迷惑がかかる」
「ねえ、どうして?昌希まで私のことを否定ばかりして」
全く噛み合わない。
コーヒーを一口飲んで気を落ち着かせる。
「私、本当に後悔しているの。毎日、夫が昌希だったらよかったのにって。私たちやり直せないかな?」
「話にならない、俺は行くよ。会社には来ないで。もし、また来たら旦那さんに相談するよ」
そう言って伝票を持って支払いをしてから外に出た。
これで終わりにしてほしいと思ったが、仕事を終え外に出ると赤茶色のロングヘアの女性が歩道柵にもたれて立っていた。
仕方がない。
彩春に[今日は遅くなりそうだから先に 帰っていいよ][飯も適当に食って帰る]とメッセージを送った。
俺の気持ちとしては、俺の彼女だと高らかに宣言して彩春に悪い虫がつかないように牽制しておきたいが、付き合っていることで仕事上の実力を疑われるのは本意ではない。
それに、俺はずっとここにはいられないのだから、彩春が仕事をしやすいようにすることの方が最優先事項だ。
彩春が昼休憩に入ってすぐ、受付からの連絡で急いでロビーに向かう。
怒りで爆発しそうだが、堪えなくてはいけない。
「美里、とりあえず外にでよう」
「どうしても話がしたくて、ごめんなさい。迷惑よね」
「ええ、迷惑ですよ。“昔”もそういいましたよね」
「あの」
「取り合えず、カフェに入りましょう。それまでは喋らないでもらえますか」
「ごめんなさい」
無言で歩く俺の後ろを小走りでついてくる。
カフェに入ると後ろを振り返ることなくスタッフに二名と伝え案内された席に着く。
きっとこの状態を見た人からすれば俺こそがモラハラ男に見えるだろう、だが、それ以上に下手に優しさを見せる方が危険な気がした。
席に着くなりホットコーヒーを二つ頼み、目の前にカップが並ぶまで無言を貫いた。
「それで?会社にまで来た理由は?」
「いくら電話をしても出てくれないから」
「何度も言っているけど、俺が君の話を聞く理由がない。実に迷惑なんだ」
「どうして、そんなに冷たいの。私本当に悩んでいて」
「あのマンションも俺はもう住むことは無いから、2度と行かないでくれ。妹達に迷惑がかかる」
「ねえ、どうして?昌希まで私のことを否定ばかりして」
全く噛み合わない。
コーヒーを一口飲んで気を落ち着かせる。
「私、本当に後悔しているの。毎日、夫が昌希だったらよかったのにって。私たちやり直せないかな?」
「話にならない、俺は行くよ。会社には来ないで。もし、また来たら旦那さんに相談するよ」
そう言って伝票を持って支払いをしてから外に出た。
これで終わりにしてほしいと思ったが、仕事を終え外に出ると赤茶色のロングヘアの女性が歩道柵にもたれて立っていた。
仕方がない。
彩春に[今日は遅くなりそうだから先に 帰っていいよ][飯も適当に食って帰る]とメッセージを送った。



