彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

出雲の自宅に着いて彩春は少し揺れていた。
サレ家族からすると、浮気相手の姉が訪ねてくることに奥さんの苦悩も理解できるから、迷いが生じてしまったようだ。

彩春は俺を“いい人すぎる”と評価してくれたようだが、彩春を落とすために計算高く接してきた。今は俺のことを意識してくれているが、まだ完全に踏み切れないでいるように見える。
そんな俺をいい人という彩春は騙されやすいのかもしれないと思うと「相馬はチョロいな」と本音がこぼれてしまった。

奥さんとの対話の後、彩春がとても疲労しているように見え思わず抱きしめた。
彩春が妹と元婚約者の呪縛から解き放たれる為に、妹の不倫の結末が必要なのかもしれない。
明日で全てを終わらせるため奥さんと出雲の断罪方法についての打ち合わせをしたようだった。

翌日、待ち合わせのファミレスには出雲の奥さんと奥さんの父親は先に来て席を取っていてくれた。この二人が来ることは出雲はもちろん、妹にも話していないため、俺は奥に居ると声をかけて奥さんとその父親の前に座った。

出雲の人間としてのクズさと妹の思慮の浅さにどれほどの人達が不幸になったのか、話し合いをしている後ろの席で聞いていた。
目の前に座る二人の表情が怒りと悲しみに染まっていくのを見るのが辛くなった。


出雲喜郎が断罪され茫然自失になっている内に、彩春と妹を連れて店を出た。

全てを終えたとき、彩春は元婚約者に最後の電話をした。