彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

彩春の料理は美味い。
今まで自分で作っていた味噌汁が文字通りの味噌の汁だったと痛感するほど、彩春の味噌汁は美味いし、だし巻き卵のふんわりとした食感が何とも言えず美味い。

「今日の夜、朱夏と家で会うことにしました」

「そうか、よく話し合った方がいい。泊まってくるのか?」
俺の問いに対して首を振って否定した。
ここに帰ってくるということが嬉しい。

今までの話を考えると、きっと辛い思いをする。
話し合いが終わった頃に迎えいにいく約束をした。
仕事が終わってから一旦家に帰ると車に乗って,以前荷物を取りに行った時に待機していた公園に向かう。

スマホには相変わらず公衆電話からの着信がありため息をつきながら呼び出しが終わるのを待って優に連絡をする。

「美里がそっちに行ったって聞いたが、あれ以来もう来ていないか?」

『希未から聞いたよ、てかあの女、あんなことしておいてよくお前に会いにくるよな』

「まぁ色々理解できないことが多いよ。連絡先をブロックしたら、毎日のように公衆電話から連絡してくるんだ」

『相変わらず怖え、もともとストーカー気味だったもんな、付き合う時だってちょっと鬼気迫る感じで俺だったら絶対無理』

「まぁ俺も若かったんだ。勉強になったよ」

『で、何か用事があるんだろ?』

「はははは、美里の件もあるが、お前の能力を借りるかもしれないから」

『相馬さん関連?』

「そう」

『頑張れよ、色々思い出したがお前から女性にアタックするって初めてだよな。希未もめちゃ興味津々だよ』

「だったら、彼女の問題解決の為に力を貸してくれって、悪い、彼女が戻ってきたから」

通話を切ってスマホをスーツの内ポケットに入れると、助手席のドアを開けた。