彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

美里と呼ばれた女は何かを喚きながらその後から到着した女性警察官に抱き抱えられるようにパトカーに乗せられて行った。

私はダイニングの椅子に座り、昌希はその隣に立ってずっと肩を抱いていてくれた。
警察は荒らされた部屋の撮影や、事情聴取をして帰って行った。

玄関に放置されていたバッグとエコバッグを持ってきてくれてダイニングテーブルの上に置いてくれた。

「ごめん、昨日の俺のやり方が間違ってた」

下を向いて首を振った。

「俺がちゃんと説明すればよかったんだよな。元カノの話なんか聞かせたくなくて不自然な態度をとったから、不安にさせた上に怖い思いまでさせてしまった。俺のやり方が甘かったんだ」

ホッとしたら涙が出てきた。

昌希さんが膝を見て慌てて茶の間に向かい救急箱とタオルを手に持って戻ってきた。
プラスチックの引き出し型のケースには、さまざまな薬が入っていて定期的に届けられる置き薬だとわかる。

「膝痛いよね。ストッキングを脱がせるけどいい?」

そう言われて下を見るとストッキングの両膝に大きな穴が空いて、左のひざには擦り剥いた跡があった。
昌希さんは擦りむいている膝にタオルを当てるとコップに入れた水をかけてから軽くタオルを押し当ててから、泡の消毒液をかけた。

「っつ」

「ごめん、痛かった?でも消毒をしないといけないから我慢して」

その言葉に頷いて、昌希さんの手元を見ていた。

痛い、今まで全く気が付かなかった。
それほど緊張していたんだ。

消毒のあと大判の傷パットを貼ってから、右膝を軽く押した。

「いっ」

「ごめんごめん、押すと痛いんだね。腫れはないみたいだけど、念のため明日は病院へ行って診てもらった方がいい。診断書ももらっておいて」

「うん」

「ホテルに行こうか?」

「昌希さんがいるなら大丈夫。この家がいい」

「じゃあ、今夜は二階で寝よう」

「うん」
怖い思いもしたけど、この家で昌希さんと一緒いたい、この家は私にもとても大切な場所になっていた。