彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

「昌希、ねぇやっぱり私には昌希しかいない。戻ってきていいでしょ」

昌希さんは私を抱きしめながら女と対峙する。

「何度も言ってる。俺たちの関係はもう一年以上も前に君の結婚により終了している」

「ごめんなさい、あの時はどうかしていたの。昌希が少し距離を置こうっていうから」

女がゆっくりと話をしながら近づいてくるのを、昌希さんは私を背後に隠しながら後退する。
警察を呼ぶと言っていたから、少しでもここから離た方がいいということだろう。
よかった、一人だったら立ち上がることはできなかった。

「その話はきちんと話しただろう。それに、本当は距離をおく前から美里は今の旦那さんと付き合っていただろう」

バイクの音が近づいてくる。

「だって、昌希が」

ピンポーン
チャイムがなってからドアを開ける音がする。
「諏訪さん」
誰かが玄関で名前を呼ぶ

「彩春走って」
背中をポンと叩かれて、まるでスイッチが入ったように足が動いた。
廊下に出て玄関に向かうと警官が二人立っていた。

「奥です」と指をさすとすぐに二人は走って行った。

足がガクガクと震える。
昌希さんは大丈夫だろうか？見に行きたいけど壁にもたれていないと立っていることもできなかった。