「ビールかミネラルウォーターしかないんだ、どうする?」

「ミネラルウォーターで」
そう答えるとキャップを軽く捻ってから500mlのペットボトルを渡してくれた。
ミネラルウォーターを一口飲んでから、コピー機の元担当だったひとと付き合っていたこと、指輪をもらってプロポーズされたこと、その彼が合コンに行き合コンに参加していた妹と浮気をした挙句妹が妊娠をしたことを話した。

「私が学費を支払っているのに苦労もせず大学に行っている朱夏を妬ましく感じるし、腹がたったし、朱夏の卒業を控えてようやく生活費や学費に振り回されることなく、ようやく幸せになれるんだと思ったところで、それが妹のせいで無くなってしまった。だから、家に帰って妹の顔をみたら何をするか何を言うかわからなくなりそうで家にいたくなかった。もちろんたった一人の妹で家族も大切だけど、それ以上に自分の心を守りたかった」

一度涙腺が崩壊した後だと、ちょっとしたことでもすぐに涙が出てしまう。
黙って聞いてくれた課長が

「相馬はもう、家を出て自分のために生きていいと思うぞ、ただ、落ち着いたら一度妹と話をするべきだと思う」

「男の人って恋愛感情がなくてもそういうことができるんですか」

「は?」

唐突な質問に課長は少し戸惑っているようだけど、父親は愛人にすっかりのぼせていたいたから男女の仲になるのはわかるけど、婚約者がいるのに初めて会った女性とそういうことが出来るのは、私に問題があったのかもしれない。
なんだか、私が悪いような気がしてきて聞いて見たくなくなった。

「まぁそうだな、必ずしも愛が介在することはないかもしれないが、それは男性だからということもないんじゃないか?」

自分から聞いたのにそれ以上聞きたくなくなった。

「あの、もう寝ます」

「ああ、ゆっくり休め」