昌希さんはいつも通りだけど、私はあの日から何んとなくギクシャクしてしまう。
父さんがしれっと帰ってきていることもだけど、昌希さんの彼女は私でいいんだよね?って、思ってしまう。
あの日の夜、“彼女”と食事をしてきたんじゃないかって疑ってしまう。ただ、その後はというか、一緒に住むようになってから昌希さんほとんど私と一緒だったし、他に誰かと付き合っている感じは受けない。
受けないけど、間違いなくあの日の昼は“彼女”と会っていたんだよね、それがどうしても引っかかってしまって前のように昌希さんを受け入れられなくなっている。
さらに
ブブッブブッ
昌希さんのスマホには公衆電話からの着信が続いている。
「ねぇ、電話に出ないの?前にいたずら電話って言っていたけどちょっと悪質だよね?」
「ごめん、結構気になるよな」
「別に、謝らなくてもいいんだけど」
「それより、最近ちょっと距離を感じるんだけど俺が何かした?」
「そんなことないけど、もしそう見えるならごめんなさい」
「公衆電話の着信だけど、着信拒否している人からの電話なんだ、次にきたら通話ボタンを押すよ。他にはなにか気になっていることはある?」
「お父さんが家に帰ってきてた」
「え?あの?」
「うん“あの”お父さん」
「彩春はどうしたい?」
「どうって、やっぱり許せないし、許したくないのに母さんがすっかり許している気がしてそれが悔しいというか」
「なら、許さなければいいよ」
「母さんって、いつも私にお姉ちゃんだから手伝って、お姉ちゃんなんだから我慢しなさいって“お姉ちゃん”って言葉で私を縛ってきた。そのくせ朱夏には苦しんでほしくないって、お父さんだって病気で可哀想だからって。でも母さんが私に対してかわいそうだと思うのは悠也を朱夏にとられたことに対してなの。頓珍漢でしょ、私は悠也が誰と結婚しようが今は何も感じないのに。結局、母さんは私について何もわかってないんだなって思ったら家族全員がもう嫌になった」
「それなら、嫌になっていていいんだよ。俺だけは彩春の味方だ、それは覚えていておいてほしい」
その言葉を聞いて少しスッキリした。
最初は離れて座っていたはずなのに気がついたら昌希さんの膝の上にいて背後から抱きしめられていた。
昌希さんは私が安心する方法をわかっている。
父さんがしれっと帰ってきていることもだけど、昌希さんの彼女は私でいいんだよね?って、思ってしまう。
あの日の夜、“彼女”と食事をしてきたんじゃないかって疑ってしまう。ただ、その後はというか、一緒に住むようになってから昌希さんほとんど私と一緒だったし、他に誰かと付き合っている感じは受けない。
受けないけど、間違いなくあの日の昼は“彼女”と会っていたんだよね、それがどうしても引っかかってしまって前のように昌希さんを受け入れられなくなっている。
さらに
ブブッブブッ
昌希さんのスマホには公衆電話からの着信が続いている。
「ねぇ、電話に出ないの?前にいたずら電話って言っていたけどちょっと悪質だよね?」
「ごめん、結構気になるよな」
「別に、謝らなくてもいいんだけど」
「それより、最近ちょっと距離を感じるんだけど俺が何かした?」
「そんなことないけど、もしそう見えるならごめんなさい」
「公衆電話の着信だけど、着信拒否している人からの電話なんだ、次にきたら通話ボタンを押すよ。他にはなにか気になっていることはある?」
「お父さんが家に帰ってきてた」
「え?あの?」
「うん“あの”お父さん」
「彩春はどうしたい?」
「どうって、やっぱり許せないし、許したくないのに母さんがすっかり許している気がしてそれが悔しいというか」
「なら、許さなければいいよ」
「母さんって、いつも私にお姉ちゃんだから手伝って、お姉ちゃんなんだから我慢しなさいって“お姉ちゃん”って言葉で私を縛ってきた。そのくせ朱夏には苦しんでほしくないって、お父さんだって病気で可哀想だからって。でも母さんが私に対してかわいそうだと思うのは悠也を朱夏にとられたことに対してなの。頓珍漢でしょ、私は悠也が誰と結婚しようが今は何も感じないのに。結局、母さんは私について何もわかってないんだなって思ったら家族全員がもう嫌になった」
「それなら、嫌になっていていいんだよ。俺だけは彩春の味方だ、それは覚えていておいてほしい」
その言葉を聞いて少しスッキリした。
最初は離れて座っていたはずなのに気がついたら昌希さんの膝の上にいて背後から抱きしめられていた。
昌希さんは私が安心する方法をわかっている。



