「とりあえずこの部屋で、布団はあるけどしまいぱなしだったから覚悟はしてくれ、その代わりシーツは新しい。トイレは二階にあるのを使ってくれればいいが風呂は1階にしかない。ちなみに俺は1階の部屋を使っているから2階は相馬だけだから安心してくれ。何か質問は?」

課長の雰囲気で勝手におしゃれなマンション暮らしで部屋が余っているとかって、2LDKとか3LDKとかかと思っていた。まさか庭のある戸建てとは思わなかった。

「ここに一人で住んでいるんですか?」

「事情があってここに一人で住んでいる。だから、気兼ねすることはない。着替えはありそうだがパジャマとかはあるか?」

着替えって会社に着て行くことを前提にバッグに入れたから部屋着的なものは入れてこなかったことに気がついた。

「気が付かなかったです、でもこのままで寝るから平気です」

そう答えていると、課長はさっさと押し入れから布団のセットを出すと敷はじめた。

「とりあえずシャワーでも浴びてこい。俺のでよければスウェットとタオルを置いておくから。その後話を聞いてやるから」

そこまで言われては断りづらいし、課長を信じるしかないと思い、言われた通りバックから下着の替えと化粧ポーチを持って浴室に向かった。

築50年近くありそうな日本家屋だ。
課長の実家とかだろうか?
2階も部屋が3つくらいはありそうだし、門から玄関までも距離があった。きっと庭もあるんだろう。
家の築年に反比例してお風呂やトイレは新しく、階段にも真新しい手すりが付いている。
そもそも課長の雰囲気とは随分とかけ離れた感じがする。

泊めてもらえて良かったと思いながら、浴室から出ると洗面台のところにフェイスタオルとバスタオルそしてスウェットの上下が置いてあった。
167センチの私が見上げるほどの身長がある課長のスウェットを着ると案の定ダブダブだったが持ってきた服を着て寝ることを考えるとありがたい。

リビングに行くと課長はソファでタブレットを操作していた。