彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

生理が遅れている。
先生はありのままで愛し合いたいと言って避妊をしていなかったから、もしかしたらとは思っていたけど、実際そうなると怖くなった。
確証を得るために検査薬を使ってみたら、陽性だった。

研究室へ行く日に検査薬を持って行った。
もしかしたら、奥さんとの離婚を急いでくれるかもしれない。学生結婚になるかもしれないけどお母さんやお姉ちゃんが楽になるかもしれない。

「私、先生の子供ができました」

「は?」

私は慌ててバッグから検査薬を見せた。

はぁ
先生のため息の大きさに不安になる。

「離婚の話がまだ進んでいないんだ、こんな時に不倫相手が妊娠したなんて知られたら、君だって多額の慰謝料を払わないといけなくなるし、こっちも拗れて離婚の話がなくなったり、離婚しても多額の慰謝料と養育費で君と結婚した時に生活が苦しくなることになったら困るだろ。わたしのことを想うなら、今回は諦めてくれ。子供はまたいつだって作れる。離婚が成立したらまた作ればいい。そうだろ?」

息つく暇もなく話続ける先生の口元だけをぼんやりと眺めていた。

「はい」

「悪いが、暫くは会えそうも無い」

「え?どうして」

「君がお腹の子を堕してきてくれたらまた会えるかもしれない。じゃあ、話はこれでおしまいだ」

それ以上は話をしないとでもいうように、パソコンに向かってしまった。
私はゆっくり立ち上がると研究室を出た。