会社では課長、家では昌希さん。
使い分けしながらON とOFFを切り替え穏やかな日常を過ごしている。

昌希さんは週に一度ジムに通い、腹筋用ベンチは私も時々使わせてもらったり、夜は昌希さんの部屋のベッドで寝ている。
同居ではなく、同棲という言い方がぴったりしてきた。

庭には甘夏の木とブルーベリーの木を植え、小松菜、ほうれん草、エシャレットを植えた。
そしてチューリップの球根の福袋というのを購入したためどんな花が咲くのかわからない。
春が楽しみだ。

悠也との時は、外泊をしたことがなかったからこんな風に好きな人と24時間一緒と言うのが楽しい。昌希さんがすごく考えてくれているからでもあるんだろうけど。
28歳で恋愛デビューって感じかも知れない。

テーブルにアスパラの肉巻き、野菜スティック、筑前煮、カナッペを並べる。
昌希さんが家庭用ビールサーバーとグラスをキンチンから持ってくる。
時々、昌希さんの妹夫婦とオンライン飲み会をしている。

画面にはショートカットの美女が映し出されている。
『彩春さんこんばんわ〜』

「こんばんわ」

『兄さんとうまくいってるみたいで妹として安心だわ、今度マンションに来てください』

「是非!」

「なんで上から目線何だ?」

『ふふふ、このマンションは兄さんのだから見ておくのもいいと思うよ』

「え?」
昌希さんってマンション持ってるの?
隣に座っている昌希さんを見ると

「この家を管理するために引っ越しをして、マンションを賃貸に出そうか考えていたら、優達がマンションを買うか家を建てるかを考え中だとか言ってあり得ない激安賃料で貸してるんだよ」

『『ありがとうございまーす』』

すごいシンクロ率

鷺沼優さんは昌希さんの中学からの友人でほぼ腐れ縁だと言っていた。
それで希未さんとも付き合いは長いが恋愛に至るまで紆余曲折あったらしい、今度キッチリ聞いてみよう。

スマホに着信がありみてみると朱夏からだった。
かけ直すか少し迷ったが「朱夏から」と昌希さんに伝えると「出てあげた方がいい」と言ってくれた為、飲み会から離脱した。