だし巻き卵にほうれん草のおひたし、ご飯に豆腐とワカメの味噌汁を諏訪さんは美味しそうに食べている。

「今日の夜、朱夏と家で会うことにしました」

「そうか、よく話し合った方がいい。泊まってくるのか?」

その問いには顔を横に振って返事をした。
今は、ここにいると落ち着く。帰ってきたい場所になった。

「車で迎えに行くよ。この間の場所で待っているから」

「でも」そこまで甘えていいんだろうか?

「俺が相馬にしてあげたいんだ」

「うん」
諏訪さんの恋人にでもなったような勘違いしそうになる。

1日があっという間に過ぎた。

1週間ぶりにあのアパートに戻ってきた。
自分の分の合鍵で部屋に入ると、朱夏と母がいた。

「彩春、この間は別に朱夏を贔屓しているとかそいういう事じゃないのよ。二人きりの姉妹だからきちんと話をして欲しかっただけなの」

先日は私もテンパりすぎて酷いことを言ってしまった。母の気持ちだってわかる。

「ごめん、本当に余裕がなかったから」

「母さんは朱夏の話を聞いた?」

「あの日、家にきたのが彩春の婚約者だったということぐらいよ」

「そう」私はダイニングの椅子に座る朱夏を見た。


「お姉ちゃん」


久しぶりに三人がダイニングについた。

「ごめんなさい、お姉ちゃん」

泣きじゃくる朱夏に苛つきを感じる。
泣きたいのはこっちだ。