昨日は長い1日だった。

昌希さんはずっとただ抱きしめていてくれた。
母さんがこの先どうするのかわからないけど、父さんとはもう二度と関わりたくない。

昌希さんを起こさないようにゆっくりとベッドから出ると簡単に着替えるとザルを持って庭に出ると小松菜の間引きをする。

「順調に育ってる」

昌希さんが好きだ。
だけど、自分の家族と昌希さんの家族ではあまりにも違いすぎる。
このまま一緒にいたら今までだってたくさんの迷惑をかけてきたのに、もっともっと酷い迷惑をかけてしまうような気がする。

私の気持ちは・・・

小松菜育ててもこの恋は育てるな!

間引いた小松菜はザルにいっぱいになった。
ほうれん草も元気に育っていて明日の朝に間引こう。

だし巻き卵に大根おろしを添えて、収穫した小松菜は味噌汁とさっとお湯を通しただけのおひたしにした。
残り物の野菜を使ったピクルスを瓶から小皿に盛り付けていると昌希さんが起きてきた。

「おはよう、眠れた?」

「うん、おかげさまで朝までぐっすりよ」

昌希さんはニッコリと微笑むと優しく抱き寄せて頭にキスを落とす。

こんな幸せがずっと続いてほしいけど、母さんが父さんを受け入れたら、朱夏と悠也が結婚したら、また何かが起こりそうで不安になる。

「ご飯食べよう、今朝は採れたて野菜を使ってます」

昌希さんは食卓を見つめてから小松菜のおひたしを指差した。
「これ?」

「そう、小松菜とほうれん草が順調に育っていて間引きました」

「へえー、商品としての小松菜しか見たことが無いから文字通り新鮮だね」

「ふふふ、昌希さんと暮らし始めていろんな顔を知ることができて、私も新鮮です」

二人で笑い合いながら新鮮野菜を食べた。