『あきにゃああああん、きもちいいよぉ』
思った以上の音量に慌ててしまい音量を下げたいというか、ミュートにしたいのに焦ってしまってスマホの前で指だけが右往左往している。
『えいこちゃーん、イクよ』
もう本当これ以上の音声はマジでヤバいと思った時昌希さんが音量ボタンを猛烈に連打してくれてこれ以上の惨劇を起こさずにすんだ。
いい年してハメ撮りとかして、気持ち悪い。というよりも、この音量でこれを見返したりとかしてたんだ。
「ほんと気持ち悪い」
つい言葉が漏れて、隣の父さんの頭がますます下がっていく。田沼英子を見ると完全に横を向いて壁と対峙していた。
写真を確認するとかなりの数の画像が保存されている、スクロールをしていくと窓から夜景が見えるところに立っている田沼英子、プレゼントらしきものを持って写っているもの、ベッドの上、裸の二人の自撮りスクロールを繰り返して行くと最後の最後にローンを払えずに手放したあの家の庭でプチトマトを収穫している母さんと朱夏と私が写った画像が1枚だけあった。
これが父さんの本当の気持ちなのかもしれない。
家族の写真を削除して田沼英子との思い出を消せずにいる。
ただ、今回だけはクソジジイグッジョブって言ってあげようかしら。
「田沼さん、思い出した?」
上目遣いで一瞬口角を上げると腕を組んで座席の背もたれにもたれかかる。
「あー思い出した。いい年して秋にゃんとか言えばホイホイとなんでも買ってくれるし、下手なセックスを褒めたらマンションの頭金まで払ってくれて。でも、どれも全部秋彦さんがくれたものだから返す必要もその気もないけど、だいたい二回り以上も年下で美人な私と沢山ヤレただけで幸せだったでしょ。それなのに、無一文でノコノコやってきて、金の無いオヤジをなんで私が相手しなきゃなんないのよ」
「わたしは英子ちゃんのせいで借金して、その返済ができなくて妻や子供たちと別れたんだ」
「私が借金してとか言ってないし、ましてや離婚してなんて言ってないでしょ」
田沼英子は昌希さんと私を見ると楽しそうに鼻で笑う。
「昌希くん、これが彼女ってこと?」
そう言って、顎で私を指すと父さんが自分の膝に爪を立てている。
田沼英子から愛されていると思って鼻の下をのばしのめり込んだ挙句ただの財布としか思われていなかった事に気がついたのか、本当は気づいていたのにその事実を見ないふりしていたのか、これで現実をきちんと受け止めてくれないと私が過ごした日々が苦しみが報われない。
「自分の欲望てか、性欲?の為に妻子を簡単に捨てるような男のDNAを受け継いでる女とかやめた方がいいよ、昌希くん」
何を言ってるの?
でも、朱夏も父さんと同じだ。
もしかしたら、私の中にもあるんだろうか?
「DNAなんて、確かに妹さんはそうかもしれないが、両親を反面教師にして努力の上自分を見失わない彼女は表面だけでなく内面も綺麗だよ。そんな彼女を愛してる。外側だけを変えたところで芯が腐っていればいずれ身を崩すだろうね」
唇を噛み悔しそうにしている田沼英子とひたすら項垂れる父さんの対比が滑稽でしょうがない。
昌希さんが私をしっかり見ていてくれるとこが嬉しい、私は胸を張って父さんや朱夏とは違うと言い切ることができる。
「何にしても、10年前のことでしょ、今更どうにもならないんだから、もう気が済んだ?私これから仕事だからもういいでしょ、二度と連絡してこないで」
田沼英子がバッグを手にもつと立ち上がったことで、通路側に座っていた昌希さんも立ち上がった。
「それは無理ね、私から直接連絡はしないけれど、弁護士を通じては連絡をさせていただきます。母に報告して不倫の慰謝料請求をさせてもらいますから」
思った以上の音量に慌ててしまい音量を下げたいというか、ミュートにしたいのに焦ってしまってスマホの前で指だけが右往左往している。
『えいこちゃーん、イクよ』
もう本当これ以上の音声はマジでヤバいと思った時昌希さんが音量ボタンを猛烈に連打してくれてこれ以上の惨劇を起こさずにすんだ。
いい年してハメ撮りとかして、気持ち悪い。というよりも、この音量でこれを見返したりとかしてたんだ。
「ほんと気持ち悪い」
つい言葉が漏れて、隣の父さんの頭がますます下がっていく。田沼英子を見ると完全に横を向いて壁と対峙していた。
写真を確認するとかなりの数の画像が保存されている、スクロールをしていくと窓から夜景が見えるところに立っている田沼英子、プレゼントらしきものを持って写っているもの、ベッドの上、裸の二人の自撮りスクロールを繰り返して行くと最後の最後にローンを払えずに手放したあの家の庭でプチトマトを収穫している母さんと朱夏と私が写った画像が1枚だけあった。
これが父さんの本当の気持ちなのかもしれない。
家族の写真を削除して田沼英子との思い出を消せずにいる。
ただ、今回だけはクソジジイグッジョブって言ってあげようかしら。
「田沼さん、思い出した?」
上目遣いで一瞬口角を上げると腕を組んで座席の背もたれにもたれかかる。
「あー思い出した。いい年して秋にゃんとか言えばホイホイとなんでも買ってくれるし、下手なセックスを褒めたらマンションの頭金まで払ってくれて。でも、どれも全部秋彦さんがくれたものだから返す必要もその気もないけど、だいたい二回り以上も年下で美人な私と沢山ヤレただけで幸せだったでしょ。それなのに、無一文でノコノコやってきて、金の無いオヤジをなんで私が相手しなきゃなんないのよ」
「わたしは英子ちゃんのせいで借金して、その返済ができなくて妻や子供たちと別れたんだ」
「私が借金してとか言ってないし、ましてや離婚してなんて言ってないでしょ」
田沼英子は昌希さんと私を見ると楽しそうに鼻で笑う。
「昌希くん、これが彼女ってこと?」
そう言って、顎で私を指すと父さんが自分の膝に爪を立てている。
田沼英子から愛されていると思って鼻の下をのばしのめり込んだ挙句ただの財布としか思われていなかった事に気がついたのか、本当は気づいていたのにその事実を見ないふりしていたのか、これで現実をきちんと受け止めてくれないと私が過ごした日々が苦しみが報われない。
「自分の欲望てか、性欲?の為に妻子を簡単に捨てるような男のDNAを受け継いでる女とかやめた方がいいよ、昌希くん」
何を言ってるの?
でも、朱夏も父さんと同じだ。
もしかしたら、私の中にもあるんだろうか?
「DNAなんて、確かに妹さんはそうかもしれないが、両親を反面教師にして努力の上自分を見失わない彼女は表面だけでなく内面も綺麗だよ。そんな彼女を愛してる。外側だけを変えたところで芯が腐っていればいずれ身を崩すだろうね」
唇を噛み悔しそうにしている田沼英子とひたすら項垂れる父さんの対比が滑稽でしょうがない。
昌希さんが私をしっかり見ていてくれるとこが嬉しい、私は胸を張って父さんや朱夏とは違うと言い切ることができる。
「何にしても、10年前のことでしょ、今更どうにもならないんだから、もう気が済んだ?私これから仕事だからもういいでしょ、二度と連絡してこないで」
田沼英子がバッグを手にもつと立ち上がったことで、通路側に座っていた昌希さんも立ち上がった。
「それは無理ね、私から直接連絡はしないけれど、弁護士を通じては連絡をさせていただきます。母に報告して不倫の慰謝料請求をさせてもらいますから」



