朝ロッカールームへ行くと私のロッカーの扉に無地の付箋が一枚貼ってあり、めくってみると“ストーカーやめろ”と書いてある。

ロッカー自体は鍵をかけているから、中を開けらることは無いが、こんな風にされるのは正直に言って不愉快だ。
きっと、前の私ならこの付箋を剥がして捨てて自分だけが我慢してしまったのかもしれないが、朱夏の事で優さんや希未さんそして昌希さんと一緒に戦った事が私を変えた。

ロッカーに貼ってある状態と書かれている文字を写真に撮ると付箋はそのままにした。

昼のレストルーム待ち伏せは止めたようで安心したが、一部の女子社員の雰囲気が悪い感じがするが仕事に支障をきたさなければ無視をすればいい。

「帰りは少し遅くなる」

昌希さんからのラインに少し不安がよぎる。

田沼英子とのラインのやり取りを全て見せると言われたが、馴れ馴れしい英子のメッセージを見るのは不快だし、昌希さんを疑っているようでなんとなく気まずいので見せる必要はないと伝えたが父さんや出雲を夢中にさせるほどの人に対して心配してしまうのは仕方がないと思う。


帰宅支度のためロッカールームへ行くと扉の内側から「相馬さんが？」「人は見かけによらないね」「課長って女難の相がでてる」などの言葉が漏れ聞こえてくる。
１回深呼吸して何事もないように部屋に入ると一瞬空気が緊張したが、今まで噂話をしていた人達が口をつぐみそそくさと出ていった。
ロッカーの扉には4枚の付箋が付いていた。
ため息をつきながらものり部分から折り曲げて写真をとると元に戻した。
「はぁ」
呪いの藁人形的なものなのかしら？
付箋何枚で恋愛成就とか？
そんなことをする人が誰かの愛をもらえると思ってるんだろうか？

帰ってご飯を作ろう。