「あの人に父さんは溺れていたんだ。どんな女か見てみたかったけど、性的なことが想像できて、それが二回りも年下の女性と“父親”がシテいたと思うと不快感というか、吐き気すらする。多分、それが自分の父親でなければ年の差とか気にならないんだろうけど」

昌希さんのスマホに幹事からメッセージが入りそれを見せてくれた。
[お疲れ様でした。今回は初めての試みとしては大成功だと自負しております。また、機会がありましたらオンライン飲み会などを開催したいと思います。ところで、田沼英子さんから諏訪に直接やり取りをしたいと連絡がありましたがどうします?嫌なら断りますよ]

「え?昌希さんに直接?」

「連絡先を交換しようと思う、これでうまく会うことができれば彩春が話をすることができるんじゃないかな」

正直に言うと、二人がやり取りするのは嫌だけど、昌希さんは私にチャンスを作ろうとしてくれている。

「もちろん、やり取りは全て彩春に見せるよ。作戦も考えないといけないし」

頷いて了承の合図をした。

昌希さんが幹事さんにOKを出すと、速攻で田沼英子からメッセージが入った。

[諏訪くん久しぶり]
[ID教えてくれてありがとう]
[全然、変わらないね、やっぱりかっこいい]

連続で入る田沼英子のメッセージにちょっとイラッとする。

[ひさしぶり、雰囲気が変わっていて分からなかった]

[えーわたし地味だったから]

[そうだったっけ?でも今はみんなも気になるほど明るくなったってことなんだね]

[営業なんだ、会社名とか聞いてもい?]
お願いにゃんと言っている猫のスタンプ

[マテリアルで第一営業課長をやってる]

[すごーい]

[田沼さんは?]

[英子でいいよ。わたしは接客]

[接客は飲食系?]

[そう。今度その話するから、また連絡してもいい?]

[いいよ]

[じゃあね、昌希くん]
バイバイと言っている熊のスタンプ

[じゃあ、田沼さん]

すぐに既読が付いた。


田沼英子の馴れ馴れしいメッセージイライラする。昌希さんは大丈夫だと分かっていても胸の奥がモヤモヤする。
自分自身が持て余す気持ちに昌希さんが気づいたのか抱きしめてキスをしてくれた。
今まで、諦めたり譲ったりばかりだけど昌希さんは嫌だ。
そう思うと、自然に昌希さんのズボンのチャックを下ろして口に含むと、「こういう彩春もいいね」と言って髪を優しくなでた。