彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

ランチ同窓会と言うことで12時開始に向けて準備をする。昨夜届いたデリバリーランチボックスは9つに区切られたボックスに、彩よく一口大の料理が収められ、スープにデザートのチーズケーキ、ミニボトルのお茶がセットになっていた。

「凄いね、なんちゃっておせちみたい」

「確かに、ギリギリのキャンセルだったから彩春の分もそのまま受け取れてよかった」

モニターの前に昌希の分を置いて、私の分は死角になる場所に置く。

ミルクたっぷりのコーヒーを昌希さんに手渡すと同窓会ルームに接続した。


〜昨夜〜

オンライン同窓会参加メンバーは25人で昌希さんがスクロールしてから指を差した所に“田沼英子”という文字を発見した。

「どう言うこと?」

「俺も驚いて優に連絡したら、あいつもこのリストを見て卒アルを確認したら“田沼英子”の名前は見つからず“北島英子”なら居た」

卒アルの北島英子と書かれた顔写真が送られてきた、中学生だと言うことでメイクなどはしてないため細長の目が隠れるほどの前髪のせいで愛嬌のある丸い鼻だけが目立つ。輪郭も両サイドに垂らしている長い髪で曖昧になっている。
一言で表現するのなら“目立たない”

この人にお父さんは夢中になって家庭を壊したんだ。今まで文字だけだった田沼英子が実在する人間として認識された。

「出雲さんから田沼英子のことを聞いたの」

「本命の愛人」と言って二人で吹き出した。

「出雲さんのお父様が桜花大学の学部長で以前から娘さんである奥さんが元准教授の浮気疑惑に悩んでいて、めちゃくちゃお金をかけて調査をしたら副産物がたくさん出てきたんですって」

「副産物?」

「朱夏とかfumiは研究室でだけのファストセックスが基本だったから報告にはあがってこなかったんだけど、田沼英子は“きちんと”ホテルや部屋で会っていたからある意味データを集めやすかったけど、相手が複数いて本来欲しい出雲元准教授との逢引き現場を抑えようとしたところ、出雲以外の男性2人とホテルに出入りしている写真や車の中やビルのかげでのキスやちょっとアレな写真も撮れたんだって」

「ある意味、元准教授って男の俺からしても凄いな」

「単に脳みそも精液なんじゃないの」

「彩春からそんなセリフが出るなんて、エロくてムラムラしそう」

エロいとかムラムラとか言われて恥ずかしいことを言ったことに気がついて身体中が熱くなった。

「そ、それでね、出雲さんが田沼英子の2人の愛人も調べてその奥さんに連絡したんだって」

「凄いな」

「虎の威を借る狐なんて嫌な言葉だと思うけど時には狐になることも必要なのよねって」

「俺には狐の方が怖く感じるけどな」

「その通り!桜花大学の学部長の娘だと身元を明かすことで話を聞いてもらったって。2人とも旦那さんは地位のある人で3人で田沼会を作ったんだって」

「田沼会」
そういうと、昌希さんは噴き出した。

「三人で話し合って各200万円の慰謝料請求して、合計600万円。実際はその金額では難しかしいかもしれないから一人100万まで幅を広げるって言っていた。でも、懲らしめるために極力200万で行くともいってたけど」

「田沼英子がどれくらい貢がせて稼いでいるのか分からないが、結構な損失になるからな。今回の同窓会は新しいパトロンの物色かもな」

「今の彼女がどんな人か見てみたい、父親と並べて謝罪させたい」