シャケの西京焼きとインゲンの胡麻和えに一口大の豆腐、茗荷と玉子の味噌汁をテーブルに並べているとまだ寝癖のついた状態の昌希さんがダイニングに入ってきた。
昨日の夜に悠也から聞いた話を報告すると、朱夏と悠也の話だから聞かなかった事にすればいい、私がそのことを気に病んだり腹を立てる必要はないと言われて気持ちがスッキリした。
住民票の移動のため有給を取ったから家を出るのは昌希さんが出勤した後になるので玄関まで行き見送った。
昌希さんは「やっぱりこういうのいいね」と言うとキスをした。
新婚ぽいかもと思うと、キス以上のこともしているのに、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになった。
まずは実家のある区役所に行き転出証明を受け取るとアパートに向かう。
呼び出し用のチャイムを鳴らす。
一回で出てこなければ帰ろうと思ったがあっさりと部屋の中から母さんの声がした。
「彩春、私の言い方でまた傷つけてしまったならごめんなさい、決して彩春を蔑ろにしてるわけではないの」
「もういい、ところで父さんは?」
「今外出していて」
いないことが分かって安心して室内に入ると、後ろから母さんが追いかけてる。
「父さんって仕事は?」
話をしながらも部屋に入ると置きっぱなしだったものの中から必要なものだけをベッドの上に出していく。
「今、仕事を探していて。今日もハローワークに行ってるの」
「無職の家無しだからノコノコここに来たんだ」
押し入れから段ボールを取り出すとそこにベッドの上に出した物を詰めていく。
「お父さんと話をしてもらえない?」
「それって、私の方の都合でいい?」
靴を持ってきてそれも入れると、ガムテープで封をしてから、スマホで集荷の依頼をする。
「母さん、住民票を移動するから」
「何処に?」
「それは父さんの問題が解決してから。母さんに聞いておきたいことがあるんだけど」
ダイニングの椅子に座るとその向かいに母さんが座った。
「父さんに慰謝料を請求しなかった理由は何?」
「あの時、借金までしていたのと家のローンもあって慰謝料をもらうよりも、そういう負債を放棄する方が先だった。家も立退がかかっていたから、慰謝料請求で時間をかけるわけにはいかなかったの」
「じゃあ、不倫相手からは?どうして慰謝料を取らなかったの?相手のことは知っていたんでしょ?」
母さんは手を胸のところで結び俯いている。
「父さんのスマホのやり取りを追求して田沼英子という名前だけは分かったけど、離婚届にサインした後は父さんが何処に行ったのかわからなくなって田沼英子を探す暇もお金も無かった」
「そう、それならこれからは父さんが何に使ったわからないけど散財が酷く借金も背負ったから子供を守るために離婚したと言うことにしてくれる」
「彩春?」
「最近、別の不倫話で田沼英子の名前がでてきたの。でも、父さんとの関係は証明できないしどうなるかわからないけど、何かあったら私が言った通りにして、今まで私のことなんて放置してきたんだからそれくらいは約束して」
「分かった」
「とりあえず父さんの連絡先ってあるの?」
「この間、契約してきたから」
そう言うと自分のスマホから父さんの連絡先の番号を表示した。
「スマホまで買い与えるなんてすっかりヒモね」
「彩春・・・」
「じゃあ、帰るから。集荷が来たら段ボールを渡して、それ以外の私の物は全て捨ててくれて構わない。アルバムも要らないから。それじゃあ」
玄関に行き靴を履いていると背後から「ごめんね」と一体何に対してなのかわからない謝罪の言葉が聞こえた。
昨日の夜に悠也から聞いた話を報告すると、朱夏と悠也の話だから聞かなかった事にすればいい、私がそのことを気に病んだり腹を立てる必要はないと言われて気持ちがスッキリした。
住民票の移動のため有給を取ったから家を出るのは昌希さんが出勤した後になるので玄関まで行き見送った。
昌希さんは「やっぱりこういうのいいね」と言うとキスをした。
新婚ぽいかもと思うと、キス以上のこともしているのに、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになった。
まずは実家のある区役所に行き転出証明を受け取るとアパートに向かう。
呼び出し用のチャイムを鳴らす。
一回で出てこなければ帰ろうと思ったがあっさりと部屋の中から母さんの声がした。
「彩春、私の言い方でまた傷つけてしまったならごめんなさい、決して彩春を蔑ろにしてるわけではないの」
「もういい、ところで父さんは?」
「今外出していて」
いないことが分かって安心して室内に入ると、後ろから母さんが追いかけてる。
「父さんって仕事は?」
話をしながらも部屋に入ると置きっぱなしだったものの中から必要なものだけをベッドの上に出していく。
「今、仕事を探していて。今日もハローワークに行ってるの」
「無職の家無しだからノコノコここに来たんだ」
押し入れから段ボールを取り出すとそこにベッドの上に出した物を詰めていく。
「お父さんと話をしてもらえない?」
「それって、私の方の都合でいい?」
靴を持ってきてそれも入れると、ガムテープで封をしてから、スマホで集荷の依頼をする。
「母さん、住民票を移動するから」
「何処に?」
「それは父さんの問題が解決してから。母さんに聞いておきたいことがあるんだけど」
ダイニングの椅子に座るとその向かいに母さんが座った。
「父さんに慰謝料を請求しなかった理由は何?」
「あの時、借金までしていたのと家のローンもあって慰謝料をもらうよりも、そういう負債を放棄する方が先だった。家も立退がかかっていたから、慰謝料請求で時間をかけるわけにはいかなかったの」
「じゃあ、不倫相手からは?どうして慰謝料を取らなかったの?相手のことは知っていたんでしょ?」
母さんは手を胸のところで結び俯いている。
「父さんのスマホのやり取りを追求して田沼英子という名前だけは分かったけど、離婚届にサインした後は父さんが何処に行ったのかわからなくなって田沼英子を探す暇もお金も無かった」
「そう、それならこれからは父さんが何に使ったわからないけど散財が酷く借金も背負ったから子供を守るために離婚したと言うことにしてくれる」
「彩春?」
「最近、別の不倫話で田沼英子の名前がでてきたの。でも、父さんとの関係は証明できないしどうなるかわからないけど、何かあったら私が言った通りにして、今まで私のことなんて放置してきたんだからそれくらいは約束して」
「分かった」
「とりあえず父さんの連絡先ってあるの?」
「この間、契約してきたから」
そう言うと自分のスマホから父さんの連絡先の番号を表示した。
「スマホまで買い与えるなんてすっかりヒモね」
「彩春・・・」
「じゃあ、帰るから。集荷が来たら段ボールを渡して、それ以外の私の物は全て捨ててくれて構わない。アルバムも要らないから。それじゃあ」
玄関に行き靴を履いていると背後から「ごめんね」と一体何に対してなのかわからない謝罪の言葉が聞こえた。



