部屋で二人になってからストラップを渡すと目の前に掲げてまじまじと見ている。

「希未さんに教えてもらって作ったんだけど、ちょっと雑になったというか、だからあまりマジマジ見ないで」

「そんなことないよ、綺麗だよ」

ハンドメイドとか初めてだから恥ずかしいけど、褒めてもらえると嬉しくて少し顔が熱くなる。

「オパールなの、昌希さんの誕生石。そして、実は私も自分の誕生石であるアクアマリンで同じものを作ってみました」

そう言って鍵につけてあるアクアマリンのストラップを見せた。

「そっちがいいな、アクアマリンは彩春の誕生石だろ」

「うん」

鍵からストラップを外して渡すと、昌希さんがキーケースにつけた。


「そう言えば総務の子達はどう?」

忘れてた、別に無視をすればいいし。あんなことぐらいで昌希さんの手を煩わせたくない。
「大丈夫よ」

「今後の事もあるし、住民票は移しておいた方がよくない?」

「確かにそうかも、もう家出じゃなくてこの家に住んでる事になるんだもんね?」

「どうして疑問形、一緒に住んでいるでしょ」

「うん、来週にでも有給を使って手続きしてくる」

「土曜日はオンライン同窓会だからよろしくな」

「私は映らなくてもいいでしょ・・・」

「本当は自慢したいけど、気を使うと思うから隣にいてくれればいいよ」

「わかった」

布団の中で抱きしめられる。

「この布団で寝るのも今日が最後か、この狭さも気に入ってたんだけど」

「疲れが取れないよ。でも、部屋のリフォームの完成が楽しみだね。希未さん達が帰ってしまうのは寂しくなるけど」

「ちょっとした合宿みたいだったからな」

「高校とか大学とか青春的なことしてこなかったからすごく新鮮で楽しかった」

「だったら、今からでも色々なことや色々な所に行こう」

青春のやり直しかぁ、それはすごく楽しみで、そんな提案をしてくれる昌希さんをどんどん好きになっていく。