「素敵なおばあさまね」
行きとは違い助手席側には町並みが車窓を流れていく。
「祖父はすごく頑固で子供の頃は怖くて近づかなかったんだけど、その反面、優しい祖母にはべったりだったんだ。大きくなるにつれて祖父の凄さとかとか頑固である故の潔白さに気づくと大きくはないが会社が優良企業であり続けることができたのは、頑固な祖父をやさしく支えて続けた祖母の力もあったんだと思う」
「きっと強い人なのね」
「そう、強い人だと思うよ。祖父は隠居をしてからは人が変わったように穏やかになって亭主関白だったのに、亡くなる数年前くらいからは祖母の尻に敷かれてた。あれは何だったんだろう」
「えーそんな事があったんだ」
母さんも昔は父さんの言いなりみたいなところがあったけど、父さんが帰ってきたら逆転することがあるんだろうか?てか、帰ってきた父さんが昔のように俺が大黒柱だ的になったら凄く嫌。
車窓を流れる景色は来た道とは違う進路を進んでいることを示している。
「もう一箇所寄るところがあるんだけど大丈夫?」
「うん」
「横浜の伯父のところなんだけど、横浜と言っても海の方じゃなくて川崎寄りの住宅街の方なんだ。横浜と川崎で不動産管理会社を祖父の跡を継いで経営している」
「それで、顧問弁護士さんがいたのね」
「そう、そして俺が次長の打診を辞退した理由がその伯父の会社が関係しているんだ」
「俺は彩春が好きだ。だけど、俺がその気持ちを押し通すことで彩春に負担をかけたくない。だからと言って、諦めることもできないんだ。本当に狡くて酷いやつだとは思う」
真っ直ぐ前を見て運転している昌希さんの横顔を見つめる。
「マテリアルは来年の春に退職する」
行きとは違い助手席側には町並みが車窓を流れていく。
「祖父はすごく頑固で子供の頃は怖くて近づかなかったんだけど、その反面、優しい祖母にはべったりだったんだ。大きくなるにつれて祖父の凄さとかとか頑固である故の潔白さに気づくと大きくはないが会社が優良企業であり続けることができたのは、頑固な祖父をやさしく支えて続けた祖母の力もあったんだと思う」
「きっと強い人なのね」
「そう、強い人だと思うよ。祖父は隠居をしてからは人が変わったように穏やかになって亭主関白だったのに、亡くなる数年前くらいからは祖母の尻に敷かれてた。あれは何だったんだろう」
「えーそんな事があったんだ」
母さんも昔は父さんの言いなりみたいなところがあったけど、父さんが帰ってきたら逆転することがあるんだろうか?てか、帰ってきた父さんが昔のように俺が大黒柱だ的になったら凄く嫌。
車窓を流れる景色は来た道とは違う進路を進んでいることを示している。
「もう一箇所寄るところがあるんだけど大丈夫?」
「うん」
「横浜の伯父のところなんだけど、横浜と言っても海の方じゃなくて川崎寄りの住宅街の方なんだ。横浜と川崎で不動産管理会社を祖父の跡を継いで経営している」
「それで、顧問弁護士さんがいたのね」
「そう、そして俺が次長の打診を辞退した理由がその伯父の会社が関係しているんだ」
「俺は彩春が好きだ。だけど、俺がその気持ちを押し通すことで彩春に負担をかけたくない。だからと言って、諦めることもできないんだ。本当に狡くて酷いやつだとは思う」
真っ直ぐ前を見て運転している昌希さんの横顔を見つめる。
「マテリアルは来年の春に退職する」



