「由紀にぃ、骨は拾うよ」


 ぼそっと呟く


「由紀ー? これは何かしら?」

「は! 母上!」

「ん?」

「それは! くそ! 裏切ったな、さいぞ―――」

「―――どこに才蔵くんがいるのかな?」


 それはそうだろう、才蔵くんは、いつの間にか私の後ろにいるのだから......


「くくく、由紀、どんまいだよ」


 肩を震わせて、笑いをこらえている

 由紀にぃ、いつものことなのに、またもや、してやられている


「いくよ」


 才蔵くんは私の右腕をつかむと、道場の方に走る

 由紀にぃの、悲鳴が聞こえるわけではないが、母を怒らせてはいけないのだとすぐにわかる

 そして才蔵くんはいまだに笑っていたのだった......―――