家に帰ると、自室で制服を脱いで、袴に着替える

 私も道場に行くからだ

 しかし、大抵は着物を着ている

 我が家は『和』なのだ

 台所とかは洋だがあとは、和。庭も、もちろん和

 家は三階建てだが、外見は和

 一階は道場になっていて、一階と二階の半分は書庫に近い

 そこは、私のもう一人の兄がよくいる

 正確にはよくいた、だ

 現在は大学生で、家にいない


「道場までが遠い......」


 離れとかもあるせいで余計に疲れる

 そんな愚痴を言っていれば道場につく


「由紀にぃがいない」


 いつもは早いはずだと考えていると、思い出す

 数日前はテスト期間で、テストの成績が悪くて隠していた

 ということは、と思い兄の部屋に向かう


「才蔵! それを返せ!」

「由紀、もうちょっと勉強したら」

「頭に何一つ入らんのだ!」

「歴史だけは無駄に成績いいし......。江戸時代までは......。」

「う、うるせえ。いいから返せ!」

「もうちょっと、お兄さんと妹を見習ったら」


 才蔵くんは、予想通りいるようだ。

 しかし、こんなに騒いでいたら......

 とある心配をしていると、後ろから肩をたたかれた

 とっさに振り向くと、優しい笑顔を浮かべた母がいる

 その背後には般若の顔が......


「どうぞ~...」


 そして道を開ければ、母の足は兄の部屋の方に向かう

 そんな時、テストが廊下にはらりと二枚

 母はそれを拾うと兄の方を見る