ではまず、お近づきの証に。

「琥珀さんのチーズケーキをいただきます」

「はい、どうぞ」

と、琥珀さんは言いました。

もぐもぐ。

うん。

私は普段、甘い物好きの久露花局長の影響で、甘い物だけは舌が肥えていますが。

このチーズケーキは、非常に美味しいと思います。

「琥珀さんは、お菓子作りが上手なのですね」

と、私は言いました。

先週までだったら、絶対に琥珀さんの手作りお菓子を食べたり、褒めたりなどしなかったでしょうが。

私も、ついさっき心を入れ替えましたので。

自分の心に素直に従います。

いえ、私に心はありませんが。

「それはありがとうございます。しかし、私はレシピに従ったまでです」

「ちなみに、そのレシピというのは?」

「『猿でも分かる!手作りチーズケーキ』という本です」

と、琥珀さんは言いました。

やはりそうだったのですね。私の予想通りでした。

「琥珀さんも…その本なんだ…。さすが従姉妹…」

と、奏さんは呟いていました。

「良ければ、今度この本をお貸ししましょう」

「ありがとうございます」

と、私は言いました。

そんな、私と琥珀さんを見て。

「二人が仲良くなってる…。何だか嬉しいよ…」

と、奏さんは、半ば涙ぐみながら言いました。

…何を泣くようなことが?

「そう、折角三人いるんだから、三人で仲良くしよう。それが良いよ」

と、奏さんは言いました。

そうですね。

折角、同じ学校に琥珀さんがやって来たのですから。

喧嘩腰ではなく、親睦を深める方針で行きましょう。

その方が良いです。お互いの為に。

そして、奏さんの為にも。