…時は流れ、数時間後。

パンケーキを二人で堪能した碧衣さんと紺奈局長も、喫茶店を後にし。

文化祭も、残すところ僅かとなりました。

キッチンから聞こえてくる声からして、いくつかのメニューは既に品切れ状態になり。

ホールの方も静かですので、お客さんはもう残っていないものと思われます。

文化祭も、もうおしまいですね。

そして、こちらの空き教室でも。

「ふぅ…。終わったね」

「はい。ご苦労様でした、奏さん」

「それはこっちの台詞だよ。瑠璃華さん、お疲れ様」

と、奏さんは言いました。

会計の仕事も、少し早いですが、やり遂げることが出来ました。

「意外と早かったですね」

「うん。今年は瑠璃華さんが手伝ってくれたから…。早く済んだよ」

と、奏さんは言いました。

やはり、一人でやるのと、二人でやるのとでは、効率が段違いですね。

しかし。

「…はぁ…」

と、奏さんは溜め息をつきました。

何だか、とても浮かない顔ですね。

大丈夫でしょうか。

「どうしましたか、奏さん。お疲れですか?チョコミントのアロマオイルをセットしましょうか?」

「あ、いやそれは遠慮しておく」

と、奏さんは素早く拒否しました。

何故でしょう。

「では、どうかしましたか?」

「いや…。今更言っても詮無いけど、結局瑠璃華さん、全然文化祭楽しめなかったなって…」

「…」

と、私は思わず無言になりました。

楽しめなかった?

そうなのでしょうか。

私としては、今日はそれなりに、充実した一日でしたが。

奏さん目線からすると、楽しそうに見えなかったのかもしれません。

「折角、初めての文化祭だったのに…」

と、奏さんは、いかにも残念そうに言いました。

何故私のことで、奏さんが落ち込んでいるのか、理解不能です。