コンロ問題が解決した頃。

ようやく、オーブンに一つ、空きが出ました。

そこに、ロールケーキの生地を入れて、セット。

あとは、焼けるのを待つだけですね。

一安心です。

そうこうしているうちに、鮭茶漬けの鮭も、ステーキも焼き上がりました。

どうなることかと思いましたが、何とかなりそうですね。

あとはロールケーキの生地が焼き上がるのを待って、生クリームと果物を巻き、飾り付けをするだけ…。

…では、ありません。

私としたことが、失念していました。

まだ、ポタージュスープが出来ていないのでした。

コンロ騒ぎのせいで、あちらの進捗状況を、確かめていませんでしたね。

「奏さん、そちらは…」

大丈夫ですか、と私は声をかけようとしました。

すると、そこは不穏な空気、を通り越し。

修羅場と化していました。

「ちょっとぉ、どうしてくれるのよ!」

「どうして…って言われても、もう冷めちゃってるし…。まだ固いんだよ。もう一度温め直して…」

「もうそんなことしてる時間ないでしょ?早く潰してよ」

「いや、固くて潰せないから…。だから、ミキサーを使うレシピにしようって…」

「何それ?私のせいだって言うの!?」

と、またしても喧嘩が勃発しています。

このグループは、喧嘩をせずに何かを遂行することが出来ないのでしょうか。

喧嘩腰の人間が多過ぎます。奏さんは温厚ですが。

とにかく、ここはリーダーとして、喧嘩を仲裁しなければなりません。

「どうどう…と、言ってはいけないんでしたね。メーデーメーデー、落ち着いてください」

と、私は割って入りました。

「瑠璃華さん…。メーデーは違うと思う…」
 
「そうですか」

と、私は言いました。

それよりも。

「一体どうしたのですか?何事ですか、この喧嘩は」 

「いや、喧嘩はしてないんだけど…」

と、奏さんは言いました。

いえ、充分喧嘩をしているように見えましたが。

主に女子生徒の方が、ですが。