八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!

 アメリカへ立つ日の朝、お父さんとお母さんが八城家へ迎えに来た。
 あらためて、初めましてと挨拶をして、琥珀さんが家を案内する。

 三ヶ月間、わたしがどんなところで生活していたのか見てもらおうと、言ってくれたのだ。

 部屋へ入るなり、お母さんが瞳をうるうるとさせて、飛びついてきた。

「あおちゃん〜、素敵な人たちと暮らしていたのね。お母さん、心配で心配で眠れなかったのよ」

 安心したのか、キツく抱きしめられて苦しくなる。

「しょっちゅうビデオ通話してたけどね」

「うん、寝てはいたね」

 お父さんのツッコミに、もうっと腕をツンとした。

 相変わらず、二人とも仲良しでなごむなぁ。懐かしいやり取りに、フフッと笑顔がこぼれる。

 ポテポテとスカイが歩いてきた。
 わたしたちの前で止まると、ニャーと顔を上げる。

 さよならのあいさつをしてくれているのかも。

「あら、この猫ちゃん……目の色が青と緑。めずらしいわね。どこかで見たことある気がする」

 スカイの頭をなでながら、お母さんがうーんと目を閉じた。

「もしかして! あの時の猫に似てるんじゃないかな」

 ひらめいたと言うように、お父さんがポンと手をならす。

 二人の話は、わたしと椿くんが出会った日のことだった。