私は、右手になにか暖かさを感じて、意識を取り戻した。


 目を開けて右手の方を見ると、誰かの手が私の手を包み込んでいた。


 その手から腕の方に視線を上げていくと、


 …っえ!?ライトくん!?


 そこには私の寝ているベッドに頭を預けて眠っているライトくんがいた。


 ライトくん、寝顔もカッコいい…!って、そうじゃなくて。


「…うん…あれ?サキ起きてる!」


 目を覚ましたライトくんは、私が起きてるのを見て、ほっとしたように笑った。


 その時、私の右手を包んでいたライトくんの手も離れてしまい、少し残念に思った。


「もしかして、ライトくんが保健室に連れてきてくれたの?」


 そう、ここは保健室。私は教室にいたはず。


「そうだよ。…てかさ、なんで急に倒れたの?」


「いや、それは…なんか寝不足で…」


 ライトくんのこと考えてました、なんて言えないけど。


「もうホント、心臓に悪いから。…心配なんだよ」

 
 …っ!?


 いやいや、そっちこそ本当に心臓に悪いっ!


「…うん…心配かけてごめんね。でも、ありがとう」


「もう体調は大丈夫なのか?」


 ライトくんの言葉に私が頷くと、ライトくんは良かった、と言って笑った。


「よし、じゃあ行くか!」


 と、私の右手を再びとって、保健室の外へと連れ出された。


「え、い、行くってどこへ!?」


 ライトくんは私の質問に答えずに、階段を登っていく。


 バーンッ!


「着いたっ!」


 連れてこられたのは屋上だった。


 上を見ると、澄み渡った青空が広がっていた。頬にあたる風が気持ちいい。


「どうだ、サキ!気持ちいい?」


 眩しい笑顔を私に向ける。


 また一歩、好きになった。