「はぁっ、はぁっ…。ここまで来れば…」


 私はライトくんに連れられて、校舎内の一階の階段の近くに来ていた。


 運動場からの全力疾走で、息がなかなか整わない。


「サキ…。俺と…ハチマキ、交換してください」


 と、ライトくんがハチマキを私に差し出す。


 まさかライトくんから言ってくれるなんて。


「はい…!」


 私は自分のハチマキを差し出す。


 お互いに相手のハチマキを手に取り、結んだ。


 結び終わると、ふいに視線が合わさって、なんだか恥ずかしくなって笑った。


「…俺、サキが好きだ」


 かぁぁぁあっ。


 自分の顔が真っ赤に染まるのがよくわかった。
 

 じっと私を捕らえて離さないライトくんの目。


「サキ。俺と、付き合ってください」


 私は嬉しさのあまり、目から涙が溢れるのを感じた。


「…私も、好きです。こんな私でよければ、よろしくお願いします…!」

 
 私の返事を聞いた途端、ライトくんの顔はみるみるうちに笑顔に包まれていった。


「…よっしゃ!俺、リレーも頑張る!」


 次は最後の競技である紅白リレー。赤組と白組の点差はほとんどなく、このリレーを制した方の優勝となる。
 

 しかもライトくんはアンカー。ここで頑張ってもらわないと。


 私は近くの階段を一段登って、


 ちゅっ。


 ライトくんにキスをした。もちろん、額にね。


「リレー、頑張ってね…!」


「…っ!」