体育祭が始まり次々と競技が行われていった。


 短距離走に長縄、学級対抗リレーに騎馬戦などなど、どれも白熱した戦いだった。


『それではこれから15分間の休憩に入ります。次の競技は紅白リレーとなりますので、選手の皆さんは3分前には入場門に集合してください』


 というアナウンスを合図に、少しずつ女子が立ち上がる。


 そう、この休憩こそがジンクスであるハチマキ交換の休憩なのだ。


「サキ、私たちも行こう!」


 アイカちゃんはカズマくんに、私はライトくんに。私たちは別々の方向に走り出した。


 私は実行委員のいる本部に向かう。


 ライトくん、どこ…?


 息を切らしながらライトくんを探す。


 ライトくんは紅白リレーの選手だから、応援の人よりも休憩が短い。


 早く見つけなきゃ…!


 せわしなく周りを見渡していると、本部の近くに人だかりが見えた。


「ライトー!ハチマキ交換しよう!」


「ライト先輩!ハチマキ交換したいです!」


 え、ライトくん!?


 なんとその中心にいるのはライトくんだった。


 いや、ライトくんが人気者なのは知ってたよ?でも、まさかこんなにだとは…。


 よく見ると、ライトくんの近くには西条さんもいた。


 どうしよう、私、交換できるかな…?なかなか足が進まない。でも、早くしないと交換できなくなっちゃう。


 …早川サキ。こうしてうじうじしてるから、実行委員を西条さんに取られたんでしょ?


 またおんなじ失敗を繰り返すの?


 …よし、行こう…!


「ラ、ライトくんっ!ハ、ハチマキ、交換…しようっ!」


 と、大きな声で叫んだ。


 するとライトくんは人混みを掻き分けて、こちらに来てくれた。


「…っ、サキっ!」

 
 そして私の右手を握って走り出した。


「ちょっとライトくん!どこ行くの!?…なんでそんな地味な子に構うの!?」


 振り向くと西条さんがいた。


「…俺にとってサキは特別なんだよ」


 そう言うと、ライトくんは私を連れて再び走り出した。