体育祭があと3日に迫り、学校はいよいよお祭りモード。


 私はこの間もライトくんとまともに話せなかった。


 今日は運動場の設営をするらしい。


「佐藤、それは応援席の横な。…あ、萩原!それはそこじゃなくて係席のとこ」


 ライトくんは実行委員らしく、クラスの全員に指示を出していた。


 そして西条さんはというと、ずっとライトくんの横にいて、一緒にプリントを確認したりしていた。


 少しの間顔を寄せ合ってプリントを見る。顔を上げて目を合わせて微笑み合う。


 ただ委員の仕事の確認をしてるだけってわかってる。わかってるんだけど。


 私の心は言うことを聞かない。どんどん自分を攻撃する。


「サキ?…大丈夫?なんかすごい悲しみのオーラが見えるよ」


 いつの間にかアイカちゃんが横に来ていた。


「うん…」


 アイカちゃんは私の目線の先に目をやった。


「あぁー…西条とライトのこと見てこうなったのね」


 2人のこういう姿を見るたびに、あの時手を挙げなかった後悔が私を襲う。


「あ、そうだ。サキは自分の仕事終わってる?」


 私の仕事はトラックのコーナーにコーンを置くことだった。


 同じ仕事の子があと2人ぐらいいたので、すぐに終わらせることができた。


「うん、終わってるよ」


「じゃあ実行委員に聞いてきなよ!『他に仕事ありますか?』って」


 確かに、このまま2人の様子を横目で見るよりかはいいかもしれない。


「うん。私行ってくる」