「あれ、サキ?」


「ライトくん」


 教室に上がってくると、ライトくんが窓の外を眺めていた。私もライトくんの横に並ぶ。


「アイカとは仲直りした?」


「うーん、たぶんできてるのかな?なんかお互い思ってることは言えたと思う」


「そっか、なら良かった」


 と、笑うライトくん。ライトくんの笑顔は、何度見ても破壊力ばつぐんだ。


「あの2人さー、絶対両思いだよなー」


「え!?ライトくん気づいてたの?」


 私だってさっき知ったのに。というか、アイカちゃんはその気持ちにさっき気づいたばかりだと思うし。


「いや、見てればわかるだろ。サキなんでわかんないの」


 いやいや、見ててもわかりません。…じゃあ私の好きな人もすぐ本人にバレそう…気をつけなきゃ…。


「カズマ最近サキとずっと一緒にいるからなー。…たぶんアイカのこととか相談してたんだろうけど」


「うん」


「…本当、カズマ、サキのこと独り占めしすぎ。俺だってサキのこと独り占めしたいのにさ」


「うん。…って、えぇ!?」


 なんか今さらっとすごいこと言ったような…?


 たぶん今、私の顔、真っ赤だ…。


「それってどういう…?」


「…サキ、ライト」


 ちょうどその時、後ろからカズマくんの声がした。


 私とライトくんが後ろを振り返ると、そこには手を繋いだアイカちゃんとカズマくんがいた。


 …アイカちゃん、顔真っ赤。


「おー、どうした2人とも」


「俺とアイカ、付き合うことになりました」


「…っ!お、おめでとうっ!」


 よかった、本当によかった…。


「だからって教室まで手繋ぐの恥ずかしくないのか?ここ3階だぞ?」


「…私は恥ずかしいって言ったのに、カズマが言うこと聞かなくて…」


「だって他の男に見せつけなきゃ。俺とアイカは付き合ってますって」


 アイカちゃんは恥ずかしさのあまりうつむいた。


 私はふと隣に目を向ける。


 さっきの言葉は、どういう意味なんだろう。


 たぶんまた聞いても答えてくれない。


 私の心にかかった雲は、いつ晴れるのだろう。