sideサキ


 アイカちゃんと2人、中庭のベンチに並んで座る。


 話そうとは思うけど、それを形として外に出すことができない。


 体を前に向けてうつむいているけど、私の全ての神経はアイカちゃんに向けられている。


 まだ心の準備と勇気が足りない。でも、このまま黙っていても何も変わらない。


 …よし。


「「…あの、さ…」」


 あっ…。


 話し出そうとしたタイミングが全く同じで、さらに気まずい雰囲気が流れる。


「…ごめん、アイカちゃん先に言って?」


 そう私が促すと、アイカちゃんはゆっくりと話し始めた。


「…最近さ、サキいつもカズマと一緒にいるじゃん。朝も一緒に来るし」


 確かに最近はアイカちゃんの話をするためにカズマくんと一緒に来てる。


「それで、私もサキの友達なのにーって、ずっと思ってたのね」


 アイカちゃん、そんなこと思ってたんだ…。


「でも今朝の2人の雰囲気見てよくわかった。このケンカは私が2人のことに気をつかえなかっただけ。…サキに対するただのやきもちだよ」