「…キ、サキー!」


 ライトくんの声だ。


 顔を上げて見てみると、ライトくんがこちらに向かって走りながら手を振っていた。


 …あ、アイカちゃんも一緒だ。


「ちょっと、ラ、ライトってば!」


「はーい、じゃあアイカここ座って。あ、カズマはこっちね」


 と言って、ライトくんはアイカちゃんをベンチに座らせ、カズマくんとどこかへ行ってしまった。


 ベンチに2人並んで座る。


 とても気まずい空気が流れた。


 アイカちゃんと仲直りしたい…でも、どうしたら。


『アイカちゃん、ごめん』


『私はアイカちゃんのこと、大好きな友達だと思ってるよ』


 頭の中では言いたい言葉が次々と出てくるが、それをアイカちゃん本人に言うには、まだ心の準備と勇気が足りなかった。