sideアイカ


 昼休み。

 
 私は教室のベランダで1人外を眺めていた。


 夏が近づく空はいつになく爽やかで、見ていると、教室のガヤガヤとした声も気にならなかった。


 …でも。私の心は、この青い空とは裏腹に真っ黒に染まっていた。


『…サキはさ、私のことどう思ってる?』


 そんなこと聞いてどうするのよ。


『ウソ。私のこと、友達とか思ってないんでしょ?』


 自分で言ってて、悲しくなった。


『じゃあなんで言ってくれないの!?…サキは、私にちゃんと言ってくれるって思ってた。でも、サキは言ってくれなかった!』


 違う。私はそんなことを言いたかったわけじゃない。


『もういいよ!』


 でも、一度言ってしまった言葉は取り消せなくて。


 傷ついたサキの顔を見て、私は自分がしてしまったことの重大さに気づいた。


 あの時、すぐに謝ればよかった。


 でも、私は今、こうして逃げてきてしまった。


「あぁもう…私はどうすればいいの…?」


 と、私は手すりに顔を伏せて呟いた。