一方その頃、イヅナたちとは全く違う世界で暮らし、イヅナたちのことなど知らない人たちがいた。それが日本に住んでいるとある女子高生たちである。

女子高生が三人、チャイムが鳴った学校から外に出ていく。だが、三人の制服は可愛らしいスカートではなく、男子が着るものだ。

「やっと授業終わったね〜。英語の小テスト難しかった」

黄緑のショートカットに黄色の目をした少女ーーー榎本葉月(えのもとはづき)が言うと、ターコイズグリーンのショートカットに黄緑の目をした少女、五十嵐風音(いがらしかざね)が口を開く。

「大丈夫でしょ、僕が教えたんだし」

風音が自信満々といった様子で笑うと、葉月は頬を赤く染める。それを見て、先ほどから黙り込んでいた紺色のミディアムヘアを一つに纏めた少女ーーー氷室真冬(ひむろまふゆ)がため息をつきながら言う。

「……今からどうするんだ?最近は悪霊もそんなに出ていない。街をパトロールがてら散歩する必要はあるのか?」