イヅナが目を開けると、そこはティータイムを楽しんでいた中庭だった。周りにはギルベルトたちが倒れている。まだ意識をみんな失っており、意識を取り戻したのはイヅナだけだ。

「無理に起こさない方がいいわよね……」

イヅナは使用人に声をかけ、一人ひとりの体に毛布をかけていく。そして椅子に腰掛け、すっかり冷めてしまった紅茶を飲む。

「時間は三十分ほどしか進んでいないようだけど、冷めるとやっぱり紅茶はおいしくないわね」

だが、あの不思議な出会いを否定はしたくない。怖い思いもしたが、不思議な力を持った人たちに出会えたことはいい刺激となり、記憶に深く焼き付いている。

「……また、会えるといいなぁ……」

次に会う時は、どちらかが住んでいる世界で会いたい。そんなことを思いながら、イヅナはティーカップにもう一度口をつけた。