ツヤが優しく微笑み、イヅナの肩にそっと触れる。刹那、風音たちの周りを白い光が包み始める。

「もうお別れの時間みたいじゃ」

ムカエルが言い、三人の助手が「ありがとうございました！！」と頭を下げる。それに対して軽く手を振った後、風音たちはイヅナたちに近付き、そっと手を握り合う。

「これでお別れなんて、信じられないな。本当はもっと話したいことがあったのに」

風音がそう微笑みながら言うと、イヅナも微笑みながら「私も」と呟く。

「みんなでお茶をしたり、遊んだり、そういうことがしたかった」

「うん、そうだよね。住んでいる街を互いに案内し合えたらとっても楽しかっただろうな」

光で互いの姿がどんどん見えなくなくなり、意識も遠のいていく。目を覚ました時には、イヅナたちの姿はなく、元の世界に戻ってしまう。寂しさを感じる風音の肩を、颯が触れる。

「風音、大丈夫だよ。互いの心に思い出がある限り、結ばれた絆は消えることはない。それに、また会えるようなそんな気がするんだ」

颯の言葉を最後まで聞いた後、風音の意識は暗闇に包まれた。