泣きながら言う葉月に、風音は「心配かけてごめん」と言いながら抱き締め返す。すると、頭を軽く叩かれた。

「心配かけんなよ、馬鹿……」

真冬が目を潤ませながら立っていた。風音は、「僕、みんなに愛されてるなぁ」と言いながら真冬のことも抱き寄せる。

「馬鹿、馬鹿、大馬鹿……」

真冬がそう呟く声に風音は心を安心させ、嬉しさから自身の瞳も潤んでいく。すると、颯の大きな手で頭を優しく撫でられた。

「よく頑張ったね」

「ありがとう、みんな……」

頬を伝った涙を乱暴に拭うと、風音の名前をアレス騎士団の人たちが呼ぶ。少し離れたところを見れば、イヅナたちが真面目な顔をして立っていた。

「風音、ありがとう。あなたがいなかったら私はただ震えているだけだった」

イヅナが前に進み出て、ニコリと微笑む。その隣にレオナードとヴィンセントが立ち、「大切な幼なじみを守ってくれてありがとう」と同時に言った。

「お前たちのおかげで、無事にイヅナを取り戻せた。感謝する」