気を失ったゴブリンを鎖で繋ぎ、風音とイヅナは檻の外に出る。どうやらここは地下のようで、窓が一つもなく、真っ白な廊下が続いていた。

「一面白……。どこが不気味だな」

「そうね。どこに妖がいるのかわからないし、武器になりそうなものが手に入るといいんだけど」

辺りを警戒しつつ、風音とイヅナは武器になりそうなものを探す。だが、地下にある扉には鍵がかけられており、武器になりそうなものも廊下には落ちていない。

「困ったわ。これじゃあ、妖が来た時に戦えない……」

イヅナが絶望的な表情を見せる。人は妖よりも弱く、脆い存在。素手で戦える相手など限られてくる。

「確かに、檻の外には出られたけど早々に詰んだな、これ」

風音が何とか平静を保とうと心がけていると、ガチャリとドアが開く。咄嗟に二人は物陰に隠れた。コツコツと足音が響く。

「どうしよう、見つかったら……」

真っ青な顔をするイヅナに、風音が「僕が何とかするよ!」と微笑む。そして、足音を立てる主を捕まえるため、勢いよく物陰から飛び出して相手を掴んだ。