ツヤをギルベルトが止めていたものの、真冬は「どっちも失礼だろ」と静かに突っ込んでしまった。

「これはさすがに穏やかではいられないねぇ。僕が行くという提案を蹴ったのは君たちなんだし」

颯が腕を組み、真っ青な顔をするムカエルたちをジッと見つめる。その瞳にはいつもの優しさや穏やかさは存在せず、氷のような冷たい眼差しであった。

「……ねえ、真冬はどうしてそんなに冷静でいられるの？」

葉月が血走った目で真冬を見上げる。真冬はフウッと一つため息をつき、扇子を取り出した。

「こういう時に一緒にパニック起こしたら、二度と冷静な判断は下せないから、答えはそれ一つに限られるだろ」

みんなの冷静さを取り戻すため、エイモンが天井に向かって銃を一回発砲する。ムカエルとエマたちが固まる中、まだ落ち着いているアレンやチターゼが救出作戦を立てようと言い、徐々にパニックになっていた人たちの心は落ち着いていったようだ。