「その薬なら、ペルトの力を奪えるってわけだね」

アレンが言うと、ムカエルたちが頷く。力を奪うだけならば、最悪の選択をする必要はない。そのことにイヅナは安堵し、大きく息を吐く。

「それで、誰が研究所まで行くの?僕が行こうか?」

颯が手を挙げ、「神様が行ってくれるなら安心だよね」とテッドが微笑む。だが、「それはやめた方がいいんじゃないかい?」とムカエルが止める。

「向かうはもしかしたら、颯さんが神様だということに気付いているかもしれない。もしも颯さんがフラフラと出歩いたら、奴らに見つかる可能性の方が高いんじゃないかとワシは思う」

「確かに、ムカエル博士の考えも一理あるね」

エイモンが顎に手を当てて頷き、「僕もその意見に賛成です」と葉月とヴィンセントが同意する。

「ええ〜。ちょっとは活躍したいんだけどな」

「動けない颯の代わりは僕が行くよ。ほら、僕なら何かあっても飛べるし」

「いや、僕も飛べるんだけど」