「……まあ、確かに今日くらいはゆっくりしてもバチは当たらないだろう。あの男を捕まえてからは、任務の数も減ったからな」

ツヤはそう言い、アンティーク調の椅子に腰掛ける。ツヤもお茶会に参加するようだ。その隣にベラも座り、カップに紅茶を注いでいる。

「あの男……ミツヒデさんですね」

ヴィンセントの言葉にツヤは一瞬瞳を動かす。ミツヒデはツヤの父親で、彼女の人生を狂わせた人物だ。

お茶会の空気が少し重くなりかける。だが、イヅナはせっかく用意された紅茶やスイーツが味わえなくなるのは嫌だと感じ、「あの」と言いながらゆっくり手を挙げる。

「せっかくのお茶会なんですから、仕事の話はやめましょう。お茶会って楽しいお話をして、一緒にお茶を飲んでいる人と繋がる場所だと思うので……」

「確かにその通りだね。よし!じゃあ、今から仕事の話は禁止しよう」

イヅナの提案にギルベルトが賛成し、他のみんなも大きく頷く。

「いいこと言うな!」

「さすがイヅナだね」