「何で妖がいるの?アレス騎士団っていうのは、戦っている姿を見る限り、妖を倒す組織なんだよね?何で?」

「……実の父親に実験されたんだ」

ツヤはその目に燃え上がるほどの怒りを浮かべ、父親にされたことや姉のかけた呪いについて説明する。それが終わると、次にベラが最初は理性を失っていたものの、ツヤの血を飲んだことで正気に戻ったことを話す。

「何か、すごい人たちだね」

葉月が呟き、風音は静かに頷く。そして風音たちが自己紹介をする番になり、颯が先に前に一歩進み出る。

「僕は颯。風を操る風神さ。よろしくお願いするのだよ」

「風神!?」

神の登場にイヅナたちは驚いた顔を見せたものの、ツヤだけは冷静な表情で颯の瞳をジッと見る。

「……何となく、そんな感じがするなと思っていたよ」

「……鬼は、あんなにも全てを把握する力に長けているのか?」

先ほどから黙り込んでいた真冬が口を開く。ツヤが特別なのか、鬼という存在が特別なのか、それは風音たちにはわからない。だが、すごいということだけはわかる。