ギルベルト、チェルシー、エイモンの三人はまるでヨーロッパの貴族を思わせるような美しい動作で頭を下げる。育ちがいいのだと一目でわかってしまう。

「……名前はチターゼ・グランツ。歳は十七歳」

「アレン・ホッジンズです。チターゼの幼なじみで、同い年です。よろしくお願いします！」

チターゼは警戒するような目で、アレンはにこやかに笑って自己紹介をする。

風音たちは顔を見合わせる。ここまでは至って普通の人たちだった。だが、問題は彼岸花の髪飾りの少女とピンクのフリルのついたワンピースを着た少女である。二人を纏う空気は、悪霊とは違うが普通の人のものではない。風音がチラリと見れば、颯も少し警戒をしている。

「ツヤ・シノノメ。千年ほど生きている鬼だ。だが安心しろ。人を喰ったことはないし、アレス騎士団の一員だ」

「ベラ・ゴドフリーです。五百年くらい生きている吸血鬼です。よろしくお願いします」

ツヤは腰に手を当て、ベラは少し恥ずかしそうにしながら自己紹介を終える。妖と戦う組織に何故妖がいるのか？その疑問を風音はぶつける。