ヴィンセントが怒鳴り、ギルベルトが額に青筋を浮かべながら笑い、ツヤが低い声を出してペルトを睨み付ける。

「仲間愛か？……くだらない」

ペルトはそう言い、肩を押さえて息を吐いているイヅナにもう一度ナイフを振り上げる。イヅナが強く目を閉じたその時、強い風が吹き荒れた。

「さっき起きたばかりだから状況はよくわかんないけど、とりあえず僕たちは守ってもらったことだけはわかるよ」

ターコイズグリーンの髪の少女が立ち上がり、扇子を構える。他の二人の少女と男性も立ち上がっていた。

「傷、見せてもらってもいいですか？」

イヅナは黄緑の髪の少女にそう言われ、扇子を向けられる。そして、数秒ほどするとイヅナの傷口から痛みが消えた。驚いてイヅナが傷を見ると、怪我が癒えている。まるで怪我など最初からしなかったかのようだ。

「どうして……」

イヅナが驚いた顔で黄緑の髪の少女を見つめると、ターコイズグリーンの髪の少女と紺色の髪の少女が扇子を手に前へと進んでいく。